2016年12月12日 更新

神秘のマルタクロス ヴァシュロン・コンスタンタン オーバーシーズ ST72040

〜神秘のマルタクロスを纏ったスポーツモデル オーバーシーズ〜 あのマルタクロスは何を意味するのか?最古の時計メゾンが後発したラグジュアリースポーツ ヴァシュロンがオーバーシーズに秘めたものとは。

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ヴァシュロン・コンスタンタンのマルタクロスが象徴するものとは

フランコ・コローニ作『ヴァシュロン・コンスタンタンの神秘』について - 持ってく?! 他山の石(ロレックスとパネライ時々ジャガールクルト) (16193)

3大時計メゾンと称されるうちのひとつ
ヴァシュロン・コンスタンタン

その歴史は長く250年以上と言われています
長きに渡りマルタクロスのもと、伝統を継承してきたヴァシュロン
【宝石広場】STAFF RECOMMENDATION (16195)

メーカーのシンボルでもあるマルタ十字は、1880年ごろに商標登録されています。
その後CONSTANTINの名前が記されるには、1819年まで時間の経過が必要でした。
ヴァシュロンの歴史の流れは、まさに時計産業がビジネスとして発展していく過程でもあります。
1837年に機械職人であったGeorges-Auguste Leschotが、互換性のある部品製造のための工作機械を完成させ、
部品の品質および精度の均一化を可能とさせました。
そしてJean-Marc Vacheronは、それまで分業制であった時計作りを、一つ屋根の下で行う協業体制を作り上げたのです。
これはartisan(職人)的な仕事の終焉を意味するといってもいいでしょう。
ヴァシュロンの歴史と共に神秘性を秘めるマルタクロス
マルタ十字(マルタじゅうじ)は、キリスト教の騎士修道会である聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団とも)の象徴とされる。元来は11世紀のイタリアの小共和国であるアマルフィの象徴であった。マルタ十字は4つのV形をした紋章がその底部で結合した形をしており、突き出た8つの角をもつ。この意匠は第1回十字軍の頃からある十字のシンボルに基づいたものである。
マルタクロスにおける意味合いは、本来8つの美徳である
8つの角は騎士道における以下の8つの美徳を象徴しているとされる。

忠誠心
敬虔さ
率直さ
勇敢さ
名誉
死を恐れないこと
弱者の庇護
教会への敬意
ヴァシュロンがシンボルマークとして、マルタクロスを採用した事にあたり
部品の形状が似ていた為とあるが、
時計造りにおいて上記の美徳を込めていたのではないか想像出来る
スイスの時計メーカーヴァシュロン・コンスタンタンは、部品の形状がマルタ十字に似ていたことにちなみ、マルタ十字をシンボルマークとして商標登録しており、文字盤やリューズ、ラグなどに用いている。
世界最大の3大メゾンと言われながらも、1番身近に感じるヴァシュロン。
そう感じられるのは、何故だろう

恐らく、オーバシーズの存在がそう思わせているのか
ヴァシュロンのオーバシーズは、威厳あるマルタロスを纏った時計達の中、
一際違う異彩を放つ。

スポーツモデルだからと言及してしまえば、それで終わりなのだが
勿論それだけでおさまらない理由が存在する

オーバーシーズ誕生の経緯

【宝石広場】STAFF RECOMMENDATION (16204)

1970年代
それは、クォーツショック或いはクォーツクライシスと呼ばれ
時計業界にとっては、巨大メゾンすら脅かす時代であった。
その時代の流れの中にあって
いや、その時代であったからかこそか現代にも通用する名品が二つ生まれた。

ひとつは、前回紹介させて頂いたパテックのノーチラス
もう一つが、以前の記事でも触れたオーデマピゲのロイヤルオークである
ロイヤルオークに関しては、また次回記事にさせて頂きます。

この時点でお気付きの方はいらっしゃるでしょうか?

3大メゾンのうち、2社から歴史的名品が生まれたのです
2社に遅れをとりながらも、
1977年にオーバーシーズの原型とも言えるモデルを発表したヴァシュロン

そのモデルの名は「222」

このモデルは、222本と云うごく少量の限定で
ヴァシュロンの222年周年の1977年に発表となったが
少量生産故の短命に終わってしまった。
オーバーシーズが発表になる1996年までの間
随分と長い期間ではあるが
オーバーシーズへの橋渡しとも言えるモデルも存在していた。
時紡ぎ ヴァシュロン・コンスタンタン オーバーシーズ(42050/423A-8474) – Styles「流儀」 (16296)

かのパルテノン神殿の建築家フィディアスの名を持ったモデルである。

僕が知っている範囲では、SSモデルの存在は見られない。
無垢モデルか、コンビモデルになる

ベーシックな3針の他に、クロノグラフやワールドタイムも存在する

確かにブレスレットの形状は、初期のオーバーシーズのそれであるが
このモデルの後継がオーバーシーズと言及してしまうのは、少々の疑問を抱きます

1996年 オーバーシーズの発表

パテックとAPから遅れる事20年、
マルタクロスを掲げたラグジュアリースポーツが発表されました
それが、オーバーシーズです

満を持して発表されたオーバーシーズが世界を席巻きした事は言うまでもありません

しかし、この後発のラグジュラリースポーツには秘めた神話があるのです

オーバーシーズの神話

222の製造当時は、まだロイヤルオークもノーチラスも大ヒットと言えるほどの成果を上げていたわけではなく、また当時はデザイナーに焦点が当たるということもありませんでした。ですからAP、PPの両モデルのデザインが誰の手になるものかなどという議論自体が生じてはいなかったのです。しかし、後年、222の後継モデルとも言うべきオーヴァーシーズがローンチされる1996年にもなると、ロイヤルオークとノーチラスがジェラルド・ジェンタ作であることは公知となっておりました。
腕時計:VACHERON  CONSTANTIN  OVERSEAS. その1  序文 【追記】: 腕時計、革靴、万年筆愛好倶楽部 (16304)

この両モデルがジェンタ作であることを公に認知させたのは日本の時計専門誌の取材によってであると、ジェンタ自身が語っております。このAP、PPとジェンタの間で守秘義務があったかは不明ですが、ジェンタ自身が積極的に喧伝することも無かったようです。また、それまでにもジェンタが手掛けたモデルは色々あるものの一部はメーカーとの守秘義務などもありデザイナー名は秘匿されていたということです。
ともあれ、1996年オーヴァーシーズ発表に際しては222も含めて「ジェラルド・ジェンタ作では無いか」との憶測だけが独り歩きしていました。誰もデザイナーとしての名乗りを上げない中、2004年だったでしょうか、うろ覚えですが、ある記者によるヴァシュロンの社長へのインタヴューに対する「222やオーヴァーシーズはロイヤルオークのコピーでは無いか?」という質問に、「ヴァシュロンは他社製品のコピーなどしない。それはヴァシュロンにとって自殺行為も同然である」「ロイヤルオークもオーヴァーシーズも独特の個性があり、どちらも一人の優れたデザイナーの手によるものだ」と、時の社長が回答したのです。
さらに、「ロイヤルオークもノーチラスも222もジェンタが関与している」との発言もあったとの記録も有る様ですが定かではありません。
腕時計:VACHERON  CONSTANTIN  OVERSEAS. その1  序文 【追記】: 腕時計、革靴、万年筆愛好倶楽部 (16307)

この発言は混乱を招きます。「ジェンタという一人のデザイナーが作った」とも受け取れるし「ロイヤルオークをある一人のデザイナー(ジェンタ)がデザインしたのと同様にオーヴァーシーズも優れた一人のデザイナーが作った」とも受け取れたためです。

この議論は「ジェンタの神話(Genta's Myth)」として長いことヴァシュロンコンスタンタンのオフィシャルフォーラムであるHour's club forumで論議を呼びました。

結局のところ、2007年に公式に222はもう一人の優れたデザイナーであるヨルグ・イゼックがデザインしたことが公となり、この論争には一旦決着が付いたわけですが、オーヴァーシーズについては私の知る限りでは明確な発表は無かったように思います。
ヨルグ・イゼックをご存知でしょうか?
自身のブランド、ヨルグ・イゼック/HYSEKのデザイナーである他
彼はロレックスのデザイナーでもあったのです
 ヨルグ・イゼックは、1953年5月14日、東ベルリンに生まれました。ドイツの芸術専門学校を経て、1973年からの2年間、London Academy of Artsへの留学を果たし、現在の「アートから受けるインスピレーション」を大切にしたデザインの基礎を築きました。
ロレックス社のデザイン部門にて4年間勤務した後に独立し、デザイン会社Hysek Stylingを設立。カルティエ、ブシュロン、ティファニー、ブレゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなど数々の名門ブランドから依頼を受け、その大胆な表現は大絶賛されると共に瞬く間に成功を収め、今日では高級時計業界において最も早く成功を収めたブランドのひとつとして広く認識されています。

随所にマルタクロスが散りばめられたオーバーシーズの魅力

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1996年に誕生したその時計は、150m防水を備えたスポーツモデルにしては
美しい薄さを伴ったモデルであった。

その造形美を支えているムーブメントは
ジラール・ペルゴのムーブメントGP3100がベースとなったキャリバー131

サテン仕上げのブレスレットには、ポリッシュの面取りが施され
腕にフィットする見えない部分は磨き込まれ美しすぎるポリッシュ仕上げで
最高の装着感を約束してくれる

万全なホールドのバックル部分には、
初めて扱う者には、容易に取り外しが出来ないほどのギミック

ケース径も36mm弱と、品のあるサイジングにして
力強いマルタクロスがデザインされたベゼル

この完成されたデザインに誰が文句を言うであろうか

クロノメーター クォーツ ST72040

 (16321)

実は、オーバーシーズには
ほぼ見た目が同じで、違いがあるモデルが存在する
それがオーバーシーズクォーツ ST72040だ

現在、各社のフラッグシップモデルに於いては
まず発売されることのないクォーツ

なぜ、高級時計においてクォーツは軽視されるのだろうか
高級メゾンのクォーツのムーブメントを覗いたことはるのだろうか?

高級なクォーツムーブメントは、非常に美しいのは当然である上に
かなりメカメカしくて、気分が高揚してしまう
作動音もカチャッカチャッとロボットの動きのような機械音が響く

例えるなら、古くて大きな壁時計とパタパタ時計の差のような感じである

そして、クォーツで在りながらも
クロノメーターの基準をクリアしている点が非常に興味深い

ロイヤルオーク、ノーチラス それらとは一線を画すオーバーシーズ

3大メゾンのうち、一社足並みをずらした印象のヴァシュロン

そして、後発のオーバーシーズが盗作の様に言われたり
或いは他2社の代表モデルと同じデザイナーではと噂されたり
不本意であった印象が先行していたかもしれない

しかし、それが逆にマルタクロスと共に神秘的なヴァシュロンを
現在になって表現しているのかもしれない
神秘的なイメージに反して、身近に感じた理由は
恐らく後発のオーバーシーズとクォーツモデル
そして、ヨルグ・イゼックの存在があったかもしれない
何事もそうである様に、先入観や見た目で判断してはいけない。
また、他者からの噂で物事を図ってはいけない

僕にとっての、オーバーシーズはその代弁者の様に感じる

マイノリティな僕は、マイノリティのST72040が非常に愛おしい
自動巻きモデル同様に、「AUTOMATIC」の表記の位置に
恥じることもなく「QUARTZ」の表記

飽くまでも伝統を貫き、相反する革新を行うメゾン
それが、ヴァシュロン・コンスタンタンであり
そのフラッグシップモデルがオーバーシーズである

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以前、これを見せて頂いた時に
買っておけば良かったと後悔の念が拭えません
#時計雑誌が教えてくれない時計の話し

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