ティファニーの時計はスイス製ムーブメント
アメリカの名門宝飾ブランド、ティファニーは優れたデザインで有名です。また水色をブランドカラーとしており、上品で気品に溢れています。
宝飾のイメージが強いですが、時計造りも定評があり、本格的にスイスで製造していることが特徴です。そのため時計ムーブメントにはクオーツ以外、高品質で本格的な機械式ムーブメントを搭載しています。
ラインナップも一種類のみではありません。6つのコレクションに分かれ、好みの腕時計を選択できます。メトロ、1837、CT 60、イーストウェスト、アトラス、カクテルと初めて聞いた人でもわかりやすいネーミングが特徴です。
さらにメンズとレディーズにも分かれており、宝飾品ブランドとは思えない充実した品揃えになります。ティファニー の本業はどっち?と考えてしまいます。でもティファニー は昔から時計に関して少なからず力を入れていたのです。それはダブルネームという彼ら独特のスタイルでした。
ロレックスとのダブルネーム
有名なロレックスのダブルネーム、僕ら世代はかつてこのダブルネームのロレックス 探し求めていた物です。しかし、ある日を境にダブルネームのロレックス は見なくなります。これは偽物が多く出たため、当時出回っていたダブルネームの真贋の判別がつかなくなったためです。
偽物が多く出回った理由はダブルネームのロレックス価格が、高騰したからに過ぎません。通常のロレックスにTiffanyのロゴをプリントすればいいだけという手軽さで、費用も少なく利益をあげることができたからでしょう。
ロレックスのダブルネームはティファニーの店舗で売られたロレックス の腕時計になります。これは推測ですが当初は販売チャンネルの一つという意味合いもありました。またもう一つの説として上客に販売もしくはプレゼントしていた説も有力です。
詳しくはZENMAIさんの記事を参照ください。非常にわかりやすく私も知らないことがたくさん書かれています。他にはカルティエも有名ですね。ロレックス とのダブルネームは1950〜60年代にかけてのロレックス に見られた物です。ダブルサインと呼ばれていたこともあるんですね。
そしてこのことに関してロレックス社内には記録も無く、これに関して公式に全く発表していないことも、真偽を怪しくしています。つまり購入したオーナーが両社の証明書(ギャランティー、販売レシートなど)をしっかり管理していない限り、本物と証明することは難しいのです。
ただ、ティファニーはダブルネームが多く出回った1960年前後くらいから、時計販売に力を入れていた歴史があることがわかります。その後21世紀に入っても時計製造と販売を継続、宝飾だけに限定して、経営をしていた訳ではありません。れっきとした販売チャンネルの一つとして重視し、スイス時計協会のメンバーでもある「スイス時計ブランド」なのです。
時計部門の強化理由は
今回の買収に関して各種メディアではウォッチ&ジュエリー部門の強化をLVMHが狙った買収劇と報道されています。しかし、時計専業ブランドというよりもジュエリーがメインのウォッチブランドというのがティファニー のイメージでしょう。
なぜ専業では無いティファニー をウォッチ&ジュエリー部門のアップを考えて買収したのか。その理由はLVMH独自の考えに基づいてティファニーに今回の買収を提案した可能性があります。まず元々LVMH傘下には時計専業ブランドが少なく、Tiffanyがグループのこれまでの加盟したブランドと業態が類似している点です。
当然ブルガリの成功体験も記憶に新しいからでしょう。ブルガリは同グループに2011年に加盟後、時計部門でも一定の成功をおさめています。結果ブルガリのブランドイメージもアップしたのです。その成功事例がLVMHが買収をアプローチした理由のひとつかもしれません。
さて今回の買収劇はまだ手続き的には進行中です。そのため、まだこの買収手続きの過程において買収がストップする可能性もあります。ティファニー 目線では取り急いで売却する必要はありません。
男性にとっての実用的なアクセサリー
今回の主役LVMHもティファニー の買収に関するコメントで同グループ会長は「世界のジュエリー界で比類なき伝統と唯一のブランド、ティファニー をファミリーに迎え入れて光栄です」としています。時計だけでは無い、ジュエリーで強いブランドを欲したという印象を僕は受けました。
このところ、時計専業ブランドはレディースウォッチの販売に力を入れているのが特徴です。以前の購入対象者はメンズのみで、伝統的なウォッチブランドほどその傾向にあります。しかしやはりメンズのみを対象にしていてはマーケットの拡大はできません。
また最近の若い購買者が時計をシェアし楽しむ嗜好の変化があるため、専業メーカーがこれまでの考えを見直すきっかけになっています。また女性がメンズウォッチをあえてする人もおり、多様な対応(ダイバーシティ)が必要です。
時計と宝石は古くから切っても切れない関係にあります。摩耗する部分には石を使いますし、ダイヤルの装飾に宝石を使うからです。そして名門宝石店ではお互いのプレゼントを買う時期にジュエリーと時計をセットで購入する習慣が昔からあるためなのでしょう。
LVMHの買収は時計好きには吉となる
上のイメージのような大吉とまではいきませんが、僕は今回の買収劇は概ね吉と考えています。大手のブランドグループ傘下に入ることは営業面でブランドにプラスになることが多くなるからです。それによって流通量も増えて、結果値段高騰を防止する効果もあると僕は考えます。適正価格で市場に出ることがいちばん望ましいですからね。
皆さんもトケマーなどで今後ティファニー の時計は注目銘柄と見て良いと思います。またLVMHグループ傘下のタグホイヤー、ゼニス、ウブロも当然注目でしょうね。