2016年5月12日 更新

腕時計100年史 シリーズ⑥ 機械式時計の復権編(1980~1990年代)

 時計が発明されておよそ5,000年が経ちます。 日時計の時代からから始まって、塔時計、置時計、懐中時計の時代へ繋がります。 やがて戦争が腕時計の普及を促し、機械式時計の黄金期に突入。クオーツショックを経て、1980年代に機械式時計が復活、そして現代の自社ムーブ全盛の現代になります。 そんな腕時計が誕生してからの「100年」を、7つの節目に分けて見ていきたいと思います。 今回はクオーツショックを受けてから見事に復活する様子を見てみましょう!

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複雑時計の開発によって息を吹き返すスイスブランド

アストロラビウム・ガリレオ・ガリレイ

アストロラビウム・ガリレオ・ガリレイ

工芸品としての価値を見出された機械式時計

1970年に9万人いたスイス時計産業の従事者が、1984年には3万人に減少します。

当時1600あった企業数も、2009年で609社にまで減っています。

そんな凄まじいクオーツ危機から、ある意味でスイス時計界を救ったのが、ユリス・ナルダンの1985年に発表した天文三部作です。

実用精度を持つ天体表示は不可能と言われていた分野で、そのあまりの超複雑ぶりにスイス時計界は驚愕したのです。
そして気づきました。
機械式時計は「時間を知る」という実用性だけではない、工芸品の価値を獲得することで、クオーツ危機を乗り越えられると。

 かつて途絶えた伝統ブランドも息を吹き返します。
あえて機械式に特化することで、スイス伝統の時計製造技術を後世に伝えようとする新興ブランドも登場します。

また、ブライトリングが機械式の新クロノマットで再出発したように、徹底的なクオリティアップによって安価なクオーツとは一線を画すブランド展開も次々と成功した。
マキシ マリーンダイバー ブラックオーシャン

マキシ マリーンダイバー ブラックオーシャン

ユリス・ナルダン
創業1846年
創業地スイス/ル・ロックル
天文三部作で知られるハイレベル技術集団。
多くの複雑時計を開発してきた同社の歴史は、若干23歳のユリス・ナルダンが設立した時計会社に始まる。1862年、ロンドン世界博覧会への出品作が優勝という高い評価を得て、各国の海軍などが正式採用を決定します。
 1985年の「天文三部作」など、複雑機構を組み込んだ高精度・高品質の時計開発やクロワゾネモデルで完全復活。最近ではシリシウムとダイヤモンドを使った新素材ダイヤモンシルを開発して脱進機に採用するなど、技術ぶりは健在です。
エグゼクティブ デュアルタイム

エグゼクティブ デュアルタイム

1990年代に入ると、東西に分裂していたドイツ統合によって古豪、
A.ランゲ&ゾーネが復活し、フランク・ミューラーの天才ぶりに世界の機械式ファンの舌を巻いたのです。

こうして1990年代にかけて本格的な復興を迎えると、時計界では巨大資本によるグループ再編が激化する。

1993年にはヴァンドームグループ(のちのリシュモングループ)が設立され、1999年にはLVMHが時計界に本格参入してきた。
これらに対してパテック・フィリップやロレックス・ブライトリングなどは、自らのアイデンティティを守るべく、独自の戦略を立て始めていた。
ランゲ1

ランゲ1

オフセットされた大小のインダイアルが印象的な復興後第1弾モデル
ランゲマティック

ランゲマティック

手巻きのランゲ1と文字盤の左右が逆の鏡像デザインとなり、新たに自動巻きムーブ搭載
A.ランゲ&ゾーネ
創業1845年
創業地ドイツ/ドレスデン郊外

栄華を極めたドイツ宮廷時計の伝統を受け継ぐ
1863年にクロノグラフ懐中時計、1891年に自動巻き懐中時計を完成させるなど高い技術力で知られる名門。
 第二次世界大戦後に一時期国営化されるが「ベルリンの壁」崩壊に伴って1990年に復興を果たし、1994年にはフラッグ・シップモデルたる第一弾「ランゲ1」を発表。シンプルな中に気品漂う仕上がりが、世界の時計ファンに圧倒的な支持を受けます。1994年には、1880年代のチェンフュジー機構を腕時計に採用し、2010年にはランゲ1の自動巻き仕様で話題を呼びます。
カサブランカ

カサブランカ

1994年の発表以来、人気の根強いロングセラー
コンキスタドール・グランプリ

コンキスタドール・グランプリ

ハイテク素材エルガを、チタンと組み合わせてケースに使用
フランク・ミュラー
創業1992年
創業地スイス/ジュネーブ
天才時計師が次々と放つユニークな美麗モデル
1992年に曲線のみで構成された独自フォルム「トノウ・カーベックス」を発表して、一躍世界のトップブランドに駆け上がった。
 その後もリュウズひとつで3タイムゾーンの設定が可能な「マスターバンカー」や3次元にキャリッジが回転する「トゥールビヨン・エボリューション」でたらめに並んだインデックスを時計がジャンプして正確に示す「クレイジー・アワーズ」など、高い技術力に裏打ちされたユニークな作品が世界を魅了してます。

まとめ

時計を工芸品としてみること。確かにそうですね。
高級時計の裏がスケルトンタイプのものをみると、まさに工芸品のように感じ、クオーツのものでは決して味わえない芸術を感じます。

この頃にはさまざまなブランドが素材や機能など色々な種類の時計を出しており、まさに復活といった感じがします。
 
さあ次はいよいよ最後のシリーズ⑦。
現代はどのような時計界の時代になってるのか?

100年史最後の締めくくりです。

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