2016年8月2日 更新

【知ってるようで知らない知識】アニュアル(年次)カレンダーってなに?

アニュアル(年次)カレンダーってなに?なにが凄いの?どういう仕組み?という素朴な、といっても自分で調べるのはちょっと面倒(笑)という疑問について、年次カレンダーの先駆けパテック・フィリップ社の製品を通じて紹介したいと思います。

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アニュアル(年次)カレンダーって、なにがすごいの?

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2016年バーゼルで発表された、パテック・フィリップの年次カレンダー誕生20周年記念モデル
「Ref.5396G アニュアルカレンダー」。ブレゲ数字がダークグレーの文字盤に映えます。
価格は予価:5,390,000円(税抜)なり。
『アニュアル(年次)カレンダー生誕20周年』ということは、逆にいえば、まだ世に出て20年しか経っていないということになります。1800年代からはじまる長い時計の歴史の中では後発組の仕組みとなります。
見た目的には、月と曜日と日付そして月齢(ムーンフェイズ)機能がついているだけのような気がしますが…どういう仕組みで、何が凄いのでしょうか?
今回は歴代のパテックフィリップの製品を通じて、アニュアル(年次)カレンダーの魅力についてご紹介したいと思います。

日付つき機械式時計のほとんどは、大の月(31日)と小の月(30日)の区別ができていません。

1か月のうち、31日の日数のある月を大の月(だいのつき)、30日もしくはそれ以下の日数の月を小の月(しょうのつき)といいます。
(小学生のころ「西向く士(サムライ)、小の月」なんて学校で覚えさせられた人も多いと思います。握りこぶし派の人も多いですかね?)
1年12か月の中で、小の月は「2月4月6月ときて、なぜか8月を飛ばして9月そして11月」と若干イレギュラーな並びになっています。
なぜこのようになったか?という話は、長い歴史の中にあるため割愛させていただくとして、
この「小の月は31日をすっとばして、1日がくる。7月&8月と12月&1月は大の月が続く」部分を、機械式時計のような歯車とバネだけで制御するような仕組みをつくる、となると非常に複雑になりそうです…。
これが、大・小・大・小…と31日と30日が交互にくるようなら、また話は違ってくるとも思うのですが…。
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代表的な機械式時計のムーブメント(機械)。
一番外側にある、1から31まで書いてあるリング状のパーツが「カレンダー・ディスク」といって、
これを深夜0時に1回、ちょっと動かすことで日付を表示する、というのが基本的な考え方です。

機械式時計は「小の月が終わったら、自分の手でそっと1日を迎えてあげる」のが、オーナーの儀式。

そんなワケで、ほとんどの機械式時計は、大の月も小の月も区別することなく、単純に1か月を31日まで表示して、そして1日に戻る、という日付の表示方法となっています。
上の画像のようなカレンダーディスクを用いた日付の表示方法が一般的です。
ですから、小の月の時は、オーナーが自分の手で30日を過ぎたら31日を飛ばして1日まで調節してあげる必要があります。
これは、ロレックスのデイトジャストも、オメガのスピードマスター・デイトも、その他の機械式時計もみな同じです。
月・日・曜日をそれぞれ表示する「トリプルカレンダー機能」のある時計は、月と日のそれぞれ調整する必要があります。
それが機械式時計の味といえば、それまでなんですが、まぁ…少々手間であることは事実。

アニュアルカレンダーなら、なんと「年に一度の調整だけ」でOK!

「アニュアル」とは「年に1回」という意味。日本語だと「年次」。
「アニュアル・カレンダー」「年次カレンダー」とは年に一回、3月1日に日付の修正さえすれば、あとは
『月の大小を機械が判別し、自動で日付を先送りを1年間やってくれる』とっても賢い仕組みです。
(※2月末のみ調整が必要になります)
もっとも、12か月の名称も日付修正と連動して自動的に変更されるので、つねに「何月何日」と正確に読み取ることができます。
『5月は31日まで表示して、6月は30日まで表示するんだけど、7月と8月は2か月連続しで31日まで表示する』というのを、ぜ~んぶ自動でやってくれるわけです。
小さな歯車とゼンマイとバネで、ですよ?スゴくないですか?

秘密は『大の月・小の月を制御するカム』にあり!

年次カレンダーの秘密は、「カム(cam)」といわれる、特殊な形の歯車にあります。
「カム」とは、通常の歯車がキレイに円のカタチにギザギザしているのとは違い、円の中心から歯までの距離や歯のついている間隔がバラバラなのが特徴です。
歯車とも呼べないような、卵のカタチやハートのカタチをしているカムもあります。
年次カレンダーの心臓部は、↓画像で赤く〇で囲んでいるパーツ、「大の月&小の月制御カム」です。
ちょっと大き目の凸凹が不規則にならんでいるカタチをしているのが特徴です。
で、この凸凹のうち「5つある凸の部分が小の月(30日)」に「凹の部分が大の月(31日)に対応しています。凸の部分が2月、4月、6月、9月、11月の部分のうちいずれか、ということですね。
そして、広めの凹の部分が2か月連続で大の月になる部分は、7・8月か12・1月のコンビです。
下の画像だと、右側の広めの凹がくる前には、大小交互の月が連続3回あるようなので、ここの部分は7・8月に対応している部分だというのがわかります…かね?
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月末に1度、日付が30日付近になると、この凸凹パーツ周りがそわそわしだます。
そして、小の月であれば「大の月&小の月制御カム」が動きしたときに、カムの凸型の突起の部分が、すぐ隣でぴったりハマっている「バナナ型のアーム(月表示ロッキングアーム)」をグッと押し出します。
押されたバナナが左右に振れ、反対側のデベソの部分が、今度はバナナの隣の「ヒヨコのくちばし(月表示ロッキングアーム回し爪)」に引っ掛かりこれを回します。そうすることで、一気に2日分の日付が動くようになり、31日をとばして1日に切り替わるようになります。
あるものをただ説明するのは簡単ですが、これを1から発明&カタチにするには非常に労力が必要になります…。

アニュアルカレンダーの代表といったら、やっぱりパテック!

で、この「アニュアルカレンダー」機構を作り上げたのが、かの有名なパテック・フィリップ社。
それまでの永久カレンダーから閏年判別機能を取り去っただけの年次カレンダーではなく、
大・小月のカレンダーを、特殊な歯車とレバーの回転運動だけで切り替える「ロータリー方式」として
特許を取得しました。
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1996年発表のバーゼルで発表された「年次カレンダー」のファーストモデル、Ref.5035。
世界初の年次カレンダー専用ムーブメント「キャリバー315SQA24H」を搭載!
9時位置のインダイヤルが曜日、3時位置で月名を表示。6時位置の24時間計で午前と午後を区別できるようにしています。
そして6時位置下の日付こそが、アニュアル・カレンダーです!
年に1度、3月1日に調整さえすれば、あとは30日・31日表示を自動で修正してくれます。
この年の『ウォッチ・オブ・ザ・イヤー』までも受賞したこの発明は、操作性や整備性、拡張性に優れ、以後のPP社の年次カレンダーの基幹となっています。
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つづく第二世代のモデルがRef.5146。
24時間表示がムーンフェイズに変更。そして12時位置にパワーリザーブがつくようになりました。
初代の5035系は残念ながら生産終了していますが、こちらはまだまだ健在です。
搭載ムーブメントは「Cal.324 S IRM QA LU」。
K21金のフルローターを搭載した傑作自動巻きムーブメント「キャリバー324」に、先代から受け継いだ年次カレンダーモジュールを組み込んでいます。
この『キャリバー324-**-QA』が、現在のPP社の年次カレンダーにおいてベーシックなムーブメントになります。
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つづいてRef.5396。
曜日と月名を2つ目のインダイヤルではなく2つの窓(グランギシェ)で表示し、ムーンフェイズと24時間表示となっています。もう、見るからに賢そう。
搭載ムーブメントは、指針表示⇒窓枠表示と変化したことにより名称こそ「Cal.324 S QA LU 24H/303」に、変更となりましたが、基本的な部分はほとんど同じになります。
歯車とカムがメインとなる、ロータリー式年次カレンダー機構は、比較的デザインの自由度も利くシンプルな設計というのがわかります。
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人気のスポーツモデル「ノーチラス」の年次カレンダー搭載モデルRef.5726A。
5396と同じグランギシェタイプの年次カレンダー「Cal.324 S QA LU 24H/303」を搭載しています。
シンプルな仕組みであるからこそ、タフさが要求されるスポーツタイプの時計にも載せることができるのですね。
個人的には数あるノーチラスの中でも、ムーンフェイズ付のこの顔が、ラグジュアリー・スポーツのイメージに一番ハマっていると思うのですが、いかがでしょう?
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2010年発表、上側の3つの窓で曜日、日付、月名のカレンダー表示を行うRef.5205。
搭載ムーブメントは「Cal.324 S QA LU 24H/206」
今までの時計のどれにも似ていない、オリジナリティあふれるトンがったデザインですが、
6時位置の日付を12時に移動した以外は、グランギシェの搭載ムーブメントと実は「ほぼ一緒」です。
文字盤の上半分に日・月・曜日がまとまっているの分、こちらの方が見やすいでしょうか。
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アニュアルカレンダー搭載フライバッククロノグラフ、Ref.5960/1A-001。
搭載ムーブは「Cal. CH 28-520 IRM QA 24H」。
アニュアルのモジュールは「Cal.324 S QA LU 24H」の仕組みを踏襲していますが
パワーリザーブと垂直クラッチ式フライバック・クロノグラフが搭載されている複雑モデルになります。
PP社では珍しいくアバンギャルドな色づかいは、2014年バーゼルでの新作発表時も話題になりました。
真っ白な文字盤に黒色のインダイヤルや窓枠&クロノ針と6時位置の分積算計の「赤色」が目をひきます。
これがまた、カッコいいんだなぁぁ!!
ちなみに日付も「1」のみ赤色になっています。
ココは毎日着用しているオーナーしか気づかないオシャレポイントですね。憧れます…。
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個人的にド・ストライクなのが、これ!!
Ref.5235 年次カレンダー・レギュレーター!!
時針は上!秒針は下!ド真ん中には分針だけ!という、パテックでは初となるスタイルです。
なんかこう、針が一本ないことで逆にメカメカしさがアップしたというか、スチームパンクなテイストが、そこはかとなく醸し出されてくるというか…
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パテック初のレギュレターに載るムーブメントはCal.31-260 REG QA。
ヒゲゼンマイ、ガンギ車やアンクルなどにはシリコンベースの新素材を使用し、
古典的な外見とは違い、意外にも中身は最新式のマイクロローター・自動巻きムーブとなっています。
機械を薄くするために採用された金色の小さなローターがグルグルとまわる様子は、まるで機械の心臓がドクンドクン動いているかのよう。メカ好きの心をくすぐります!刺さります!!
マイクロローターといえば、5000系や6000系のカラトラバにも載せられている傑作ムーブ「Cal.240系」の印象が強いですが、どうやらこちらの「Cal.31-260」は「Cal.240系」の後継機種となるようです。
今後、新型ムーブ「Cal.31-260系」の機械をベースとした新作がいろいろ出されるのでしょうか?
「Cal.31-260」は6時位置にスモセコがついているので(240系は4時位置でした)、マイクロローター搭載の「96スタイル・カラトラバ」なんてのも、いずれ発表されるかもしれませんね!

まとめ

今回はパテック・フィリップの製品を通じて「アニュアル(年次)カレンダー」を紹介させていただきました。
見た目の派手さでいえば、「クロノグラフ」や「ダイバーズ」「トラベルタイム」などに一歩ゆずる部分はあると思いますし、年次カレンダーの上には、パーペチュアルカレンダーという存在がある以上、「完璧」ではない部分もあります。
ただ、日常使いでの実用性やメンテナンス性という部分で見た場合、「本当の機械時計好き」のチョイスの中に一本あってもいいかなぁ…と、そう思います。
機械があれば、パテック以外のメーカーのアニュアルモデルも紹介したいと思います!では!

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